CASE STUDY

ケーススタディ

インサイツ自主調査レポート
ネット調査の疑問点、もうひとつ品質を上げるために
  インターネット調査は、数ある調査手法において最もポピュラーな調査になりましたし、多くの調査会社が主力の調査手法として打ち出していると思います。かくいう弊社も、2002年の創業以来、中国で最初にインターネット調査を手掛けた会社として、また、今日では86万人以上の自社モニタを有するなど、多くのお客様にご利用頂いているところです。

  まだインターネットが普及する前は、FAXを用いて調査票を配布したり、一件づつ電話をかけて回ったりしていたわけですから、莫大な費用と時間がかかったことと思います。また、インターネット調査が企業のマーケティングを大きく変えたことも想像に難くありません。

  実際、ネット調査の売り文句は(1)スピーディーであること、(2)安価にできること、(3)品質が良いこと、などがよく見かけられます。上述したように、インターネット以前の時代と比較すれば、実査にかかるスピードは格段に向上しましたし、よほどの条件でなければ価格的にも十分受け入れられるものになったと思います。しかし、一方でネット調査に対する不信感もよく聞かれるようになりました。私が聞いた実例をひいて紹介したいと思います。

「モニタの出所を教えてもらえない」

  調査会社によっては、自社モニタ(被験者)を持っていなかったり、他社から借り受けしている場合があります。それ自体が悪いわけではありませんが、少なくともネット調査では、モニタの管理がもっとも重要であるため、自社でモニタを保持しているかどうかにかかわらず、出所はもちろんのこと、管理についてきちんと回答できることが重要です。

  主なポイントとしては、(1)モニタの維持・管理はどうしているのか、(2)モニタの回答頻度はどうか、(3)月間の新規モニタや排除モニタの状況はどうか、などが重要です。 モニタ数は多いが、ほとんど回答のない「ゾンビモニタ」ばかりでは質を維持できませんし、不良モニタの排除を含め、徹底したモニタ管理が重要です。また、中国における調査特性を考えれば、モニタのエリア分布や職業、収入分布なども適宜公開してもらえると安心感があります。

「自社に都合の良いデータばかりでてくるのだが」

  調査の結果、自社の優位性が際立っていた、あるいは自社が大きく支持されていたというのは喜ばしいことかもしれません。しかし、常に自社が優位であるような調査結果ばかり出てくるようでは、何か問題があるのでは、と疑問に思うのも無理はありません。実際に優位であればそれに越したことはありませんが、調査設計によっては自社に都合の良いデータへ誘導できるパターンもあります。

  例えばA社からの発注で、商品の認知度について設問を立てるとしましょう。こういう場合はどうでしょうか。

  設問「あなたの知っている商品をお答えください」(複数回答)
  ・A社の○○
  ・B社の△△
  ・C社の××
  ・D社の□□
  ・E社の●●

  この設問で気をつけたいのは、発注主であるA社の選択肢が常に上位にある場合です。

  選択肢の順列が常に同じである場合、被験者に回答の傾向性を与えてしまう可能性がある、ということです。つまり、Aばかり、Bばかり、という可能性が生まれやすい条件を与えてしまうのです。そこで、ネット調査では回答者によって選択肢の並びを変更する「ランダマイズ」を行うのがふつうです。そうすれば、回答の偏りは防げます。

  しかし、それだけでは十分ではないのです。それは、迷ったとき、判断がつきづらい場合に一番上の選択肢だけを選んでしまうような場合です。であれば、一番上の選択肢(=A社)が多くなるのは当然です。つまり、常に一番上しか選ばずに次の設問へ移ってしまうことも起こりうるわけです。ここは調査会社ごとの判断によりますが、そうした回答は収集後に削除するか、前もってこうした回答ができないよう、ロジックを設定することも考えられるでしょう。

「回答がいい加減なのではないか、不安だ」

  どの調査会社であっても、ロジック設定や目視などでデータの品質を管理していると思いますが、それでも疑心暗鬼になってしまうケースもあるようです。上述したように、モニタの維持管理がしっかりできているかどうか、回答の傾向性を踏まえ、特定のパターンを排除するような取り組みがなされているか、などは重要ですが、もうひとつオススメしたいのが「回答時間」です。

  調査会社の中国人スタッフにも回答してもらい、おおむねの回答時間目安を作成し、一定の基準を設け、あまりにも早い時間での回答である場合、これを排除するような取り組みがあると、品質の向上につながります。こうしたデータはどこの調査会社でも取得していると思いますし、ぜひ関心を持っていただきたい部分です。

  このように、ネット調査でデータ取得の利便性は高まりましたが、顔の見えにくいネット調査ならではの悩みがあると言えそうです。逆に、最低でもここで取り上げたポイントをしっかり押さえてくれる調査パートナーを見つけることが重要になると思います。